Chapter1 へっぽこ研修医と観客たち その3(7)
意外に思われることも多いが、僕は、プライベートとパブリックをきっちり分けたがる人間だ。僕の生い立ちが、僕をそういう人間にした。猜疑心が強く、裏表の差が非常に激しい。
表では、お調子者で通したほうが、なにかと都合が良かった。ホスト時代に覚えたノリが役に立った。しかし、内気な臆病者であることに変わりはなかった。
サンシンは僕の心の友であり、僕の一部分だ。音楽は世界共通のコミュニケーションと言われている。患者さんを喜ばせるひとつのきっかけを提供できるのはうれしい。でも、ここでは所詮、僕の診察、治療という仕事をスムーズに運ぶ道具でしかないのだ。
それ以上のかかわりを僕は拒絶した。サザン・ホスピタルという限られた世界でのみの付き合いを望んでいた。
当時の僕は、独りよがりな、ただの偽善者だったのかもしれない。
その僕が変わり始めたのは、そう、この人が「サザンで働きたい」なんて言い出したから。
…ということで、次章へTo be continued.
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